1. TOP
  2. 気象災害
  3. 気象衛星「ひまわり8号」で雲の表情を見てみよう(配信される画像の読み方)

気象衛星「ひまわり8号」で雲の表情を見てみよう(配信される画像の読み方)

日本の気象衛星「ひまわり8号」からの地球の雲の画像、可視光画像も気象庁のホームページでも見ることができるようになりました。

絶え間なく刻々と変化していく雲や空の表情は、何時間見ていても飽きません。

しかし、映像の美しさだけでなく、気象防災の観点からも、気象衛星からの雲の画像は状況把握や危険を予測するために非常に役に立ちます。

ただし映像の種類が多く、その特徴を理解していないと、それぞれの画像から把握できることがわかりづらいので、私のほうで気象庁の衛星観測画像の解説を要約いたしました。

<出典:気象庁HP 衛星観測画像について>
http://www.jma-net.go.jp/sat/data/web/satobs.html

<気象庁HP:気象衛星(30分ごとに配信)>
http://www.jma.go.jp/jp/gms/

<気象庁HP:気象衛星(高頻度)(日本域のみ2.5分ごとに配信)>
http://www.jma.go.jp/jp/gms150jp/

画像の種類

気象衛星「ひまわり8号」により撮影された画像は、

  • 可視画像
  • 赤外画像
  • 水蒸気画像
  • 雲頂強調画像

の4種類があります。

それぞれの画像の特徴

可視画像

文字通り、太陽光に照らし出された可視光の映像であり、視覚的にわかりやすい(つまり人間が見た場合に近い)画像です。解像度は衛星の真下付近(赤道面)で500m。
強い雨を降らせる雨雲は厚みがあり太陽光の反射が大きいため、画像ではより白く写ります。
欠点は夜間は真っ黒な映像になってしまうこと(当たり前ですが、陽の光が当たらないと撮影できません)。

赤外画像

可視画像と似ていますが、こちらは雲、地表、大気から放出される赤外線を観測し画像化したものです。解像度は衛星の真下付近(赤道面)で2km。放出される赤外線の強さにより雲の白さが異なるというという点が可視画像との違いで有り、見る際にはこの点に注意が必要です。赤外画像の場合は、高い高度にあって温度の低い雲をより白く表現し、ごく低い雲や霧は、地表面との区別がほとんどできません。また、高い高度の雲には、夏の夕立や集中豪雨をもたらす積乱雲のような厚い雲もあれば、晴れた日にはるか上空に薄く現れる巻雲のような雲もあります。このため、白く写っている雲が雨をもたらすとは限りません。
利点は夜間でも雲の画像が取得できること。赤外線ですので、陽が当たらないときでも撮影可能です。

水蒸気画像

水蒸気画像は赤外画像の一種で、大気中にある水蒸気と雲からの赤外放射を観測した画像です。
水蒸気画像では、雲がないところでも対流圏上・中層にあるごくわずかの水蒸気からの放射を観測することができます。これいより上空の大気の湿り具合が把握できます。白くモヤがかかっているところは水蒸気が多くあるところ、モヤがなくクリアな領域は、空気が乾燥しているところとなります。
また、画像を動画として見ることで、水蒸気の流れを介して上空の大気の流れを見ることができます。

雲頂強調画像

雲頂強調画像は、日中の領域は可視画像、夜間の領域は赤外画像を表示し、その上に雲頂高度が高い雲のある領域を色付けした画像です。雲が高く発達しているほど、画像ではより赤味がかって見えるようになっています。雲が発達して積乱雲になると雲頂高度が非常に高くなるので、赤味がかった領域の中には積乱雲が含まれている可能性があることがわかります。
特に、日中の領域で使用している可視画像では、太陽光で影ができることにより積乱雲の雲頂のでこぼこした形状が 見えるため、このような雲が赤く表示されているときは、積乱雲が存在するとわかります。
なお、この雲頂強調画像は、レーダーで観測した降水強度を示したものではありません。また、雲頂強調画像は気象衛星(高頻度)のページにのみ掲載されています。

画像の配信頻度

雲の画像は基本的に30分ごとに配信されますが、日本域については2.5分ごとに配信される「気象衛星(高頻度)」もあります。
30分ごとの配信は「日本域」、「4分割(北西)」、「4分割(北東)」、「4分割(南西)」、「4分割(南東)」、「北半球」、「全球」の7つの地域割りとなります。